三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2020年5月3日放送

紀町錦の女性を中心とし地域の歴史や文化を広く伝える活動を行っている『戸畔の会』
2013年からスタートさせた「都に続く縁の道を歩く」は、錦と奈良の都のつながりを検証しながら、地域の結びつきや交流を再発見するツアーで、2019年からはその集大成として、すべての行程を徒歩で制する「纏めウォーク」を開催しました!
2回目の登場となる今回は、橿原神宮御鎮座百三十年奉祝行事にあわせ、ゴールとなる橿原神宮をめざすみなさんを紹介します

こちらは三重県…ではなく、奈良県橿原市の橿原神宮です。
7年の歳月をかけて歴史の道をたどり、そしてこの日、この橿原神宮にあるものを奉納する『戸畔の会』のみなさんを紹介します!

 

大紀町錦と奈良の都。
まるでつながりがないと思われたふたつの地域は、歴史の街道でつながっていました。
はるか昔、錦で水揚げされた魚が遠い道のりを経て都へ運ばれ、そして都の文化が錦に伝わったと言われています。
その歴史は、錦で発掘された土器や鏡、平城宮跡で発見された木簡からも明らかにされ、日本最古の歴史書である日本書紀にも、錦の名前が記されています。

 

そんな地元の歴史に光をあて、生まれ育った人たちが誇りを持てるようにしようと、あるツアーを立ち上げたのが『戸畔の会』のみなさん。
2013年にスタートしてついに8年目。
錦から奈良の都へとつながる歴史の道をたどり、その謎を紐解くツアーを7回にわたって開催してきました。

今回はその最終章。
ゴールである橿原神宮に、いよいよ到着します。

 

『戸畔の会』代表の西村元美さんに、最後となる今回のツアーの内容についてお聞きしました。

「8年前から続けてきた『都に続く縁の道を歩く』というイベントで、バスでいろいろな史跡を巡ってきました。
その後、実際歩いてみようということで、ずっと月つきでとばして開催してきましたが、今回は通して5日間歩く『纏(まと)めwalk』となっています。
橿原神宮御鎮座百三十年奉祝行事に合わせて今日のゴールを目指してきました。
本当なら参加希望の方がたくさんいたのですが、新型コロナウィルスの感染が拡大してきたため、途中でお断りしてスタッフだけで行っています」

『魚(いよ)の道編』として5日間で踏破し、魚を奉納することになっています。

 

3月30日に錦を出発したウォーキングチームのみなさん。
今朝8時に奈良県桜井市の山田寺跡付近を出発し、橿原神宮へと向かっています。

「私はいつも戸畔の会と一緒に、活動をサポートしていますisomon6の谷口です」

『ISOMON6』を共同主催している谷口満穂さん。

「宮島美栄です」

「私が住んでいるのは奈良なんですけども、戸畔の会に助けてもらって活動させてもらっている、小谷雅美です」

「熊野市在住の伊澤求です」

 

「山を越えていくつも峠を越えてきましたが、お魚を売りながら運んでここまで持って来てたという話を聞くと、昔の人の体って強いなとか思ったり、とても体感できます」

と、小谷さん。

「8年前に始める時は、『えっ、あんたら生きとんの?、生きてる内にできるん?』と言われていましたので、この日を迎えられて感無量というか、みんな元気で無事で良かったです。
それどころか、仲間がすごく広がったんですよね。
彼らもそうですし、奈良の方もたくさん仲間ができたので。それはすごく良かったですね」

と、宮島さん。

「8年間の内にいろんな人と出会えて、それだけでも実りのある活動だったと思います」

と、谷口さん。

 

ウォーキングチームが到着すると同時に、錦の魚を乗せた運搬チームも到着!
今朝水揚げされたばかりのブリです!
これを今から奉納するんですね。

 

神武天皇を熊野の国から大和の国へ導いたとされているヤタガラスに見守られて、奉納がはじまりました。

 

みなさん白法被に身を包み、天秤棒と、いただきさんと呼ばれる行商が頭にのせたかごで奉納品を運びます。

「ゴールできるという気持ちが、ほんとにうれしいです。
いろいろな方の協力があってこうなりましたので」

と、西村さん。

「この日のために来ました。感謝の気持ちを届けたいです、魚と一緒に」

と、伊澤さん。

 

静かに。

 

そして厳かに式はすすめられます。

 

「乾杯〜!」

奉納と参拝後、みなさんはなおらいの昼食。
8年におよぶ、長い長い旅のねぎらいです。

 

「錦の女性たちが非常に元気に頑張っているというのが印象的でしたね。
私は熊野古道をガイドしたり、ジオパークをしていますが、いろいろと一緒にやらしていただいたら楽しくやれるなと。
そしてまた見習うこともできるなと、そういうふうに思っています」

と、熊野市から式典に参加した男性。

「奈良との結びつきを、お互いにPRしたらいいんじゃないかと思います」

と、地元奈良県から式典に参加した男性。

「今後の抱負としては、同じような年齢の人にも知ってもらって、興味ある人には参加してもらいたいです」

『戸畔の会』の西村沙萌さん。

ふるさとに残された歴史、謎を紐解きたい・・・。
そんな思いからはじめられた歴史街道をたどる旅は、終わりました。

 


講師として共に活動してきた皇學館大学名誉教授の岡田登先生に、今後の展開についてお聞きしました。

「若い人たちにも節目節目にこういう事をしていただきたいです。
もうひとつは、錦の海で獲れるいわゆる熊野灘で獲れた魚をね、大和の人にもう一度届けようという動きが出てきたらいいなと思います。
これからは顔が見えるような、獲った人と食べる人が一つになって、日本の自然の恵みを感謝しあえるようなことができたらいいなと、私は思っております」

そして『戸畔の会』代表の西村さんに、今後の活動についてお聞きしました。

「前々から作っていた地図を仕上げて、それを冊子にしようと思っています。
そその際には、私たちが下調べする途中で出会った、おいしいお店なども入れて冊子にしたいですね。
都とのつながり、歴史や絆が、錦に住んでいる人たちの生きていく力になっていけばいいなと思っています」

と、西村さん。

2013年から、足掛け8年。
歴史の道は、往来した文化、地域と人のつながり、そしてふるさとの魅力を改めて教えてくれました。